2013/12/02

昨日の発句は今日の辞世


肌が白いと褒めるなら
心の赤さも見て欲しかった
男と女のけものみち
恨みも グチもないけれど
せめて抱きたい 春の夢
絵模様哀し『友禅流し』
牧村恵美子さんです

玉置宏さんというすごい方がいたことを、この前知りました。
歌謡曲のテレビ番組「ロッテ歌のアルバム」の司会者をされていて、
曲が始まる前のイントロ中に曲の世界を垣間見せるナレーションをはさむという。
上のものも、そのナレーションの一つで、他にも多くの名ナレーションを生んでいます。
そこでは俳句や短歌のように五文字や七文字のフレーズを用いていることが
多いのですが、玉置さんの本を読めば、やはり川柳を勉強されていた。
やはり七五調や五七調は、日本人にはリズムよく聞こえるのでしょうか。


少し昔の話をしますと、11月28日は「時雨忌」と呼ばれております。
『更級紀行』『奥の細道』などで教科書に出てくる松尾芭蕉の命日が現代の暦になおすと11月28日。
時雨忌と言う名前の由来は、ちょうど今が時雨の季節だからということらしい。
まんまですね。

死の数日前、芭蕉は「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」と詠んだそうです。
翌日、弟子が辞世の句について聞くと「昨日の発句は今日の辞世、今日の発句は明日の辞世、
わが生涯の一句として辞世ならざるなし」と答えたといいます。
一日一日を丁寧に生き、詠んだその句が辞世となってしまってもいいように、
すべての句を詠むという俳人としての気概でしょうか。

気づけば十二月。
今年、自分は何をして、何ができなかったか。またはやり残したか。
一年を振り返ることが多くなりました。
それも大事だけれど、今日一日の時間をどれだけ丁寧に使ったかを
毎日問い続けることも忘れてはいけないな、
と思った微熱と二日酔いの夜でございます。

クリスマスや忘年会でお酒が美味しい季節です。
この曲で、今日はおしまい。
言えないことを 言いたくて
飲めないお酒を 飲みました
見れない夢が 見たくって
切ないうそも つきました
みんな溶けてく グラスの氷
恋も 涙も 想い出も
『酒と泪と男と女』
河島英五さんが唄います
(これも玉置宏さんのナレーション)


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